2022年3月「ようこそ、遊ぶと働くの未完地帯へ。」をコンセプトに京王井の頭線下北沢駅前にオープンした「ミカン下北」。これまでの商業施設運営にとらわれず、街での存在感を高めるための新たな施設運営に挑戦する担当者のリアルな日常、そしてその楽しさ、やりがいについて伺いました。
10:00 / SYCL by KEIO について運営パートナーとの定例会議
「一緒にこういうことをやりたいよね」を一緒に考える
ミカン下北のコンセプトを体現する場のひとつ「SYCL by KEIO(サイクル バイ ケイオウ)」。“誰かの「やってみたい」が街とつながるワークプレイス”をテーマに、遊ぶと働くが混ざる下北沢ならではの新しい働き方・街との関わり方を提案するワークプレイスとして、運営パートナーであり下北沢に拠点を構える㈱ヒトカラメディアと協働で運営しています。石塚さんもその担当者の一人として収支分析や情報共有のための定例会議に参加します。
石塚さん:SYCL by KEIO はテナントとして区画を貸し出しているのではなく、㈱ヒトカラメディアさんと一緒に運営している場所です。なので、定例会議で一方的に報告を貰うだけではなく、一緒にやりたいことを提案したり、課題の解決策を考えたりと、“ともにつくりあげること“を大切にしています。
12:00 / ミカン下北の飲食店で同僚とランチ
ランチは会話のきっかけ
数も種類も豊富な飲食店が立ち並ぶ下北沢。石塚さんも街中やミカン下北の店舗を巡り“シモキタグルメ”を味わうことが楽しみの一つ。今日は同僚のおふたりと一緒にミカン下北のベトナム料理店「チョップスティックス」でランチです。
お互いの仕事の話を共有しつつ、プライベートの雑談で大盛りあがり。ひとりの時はお弁当を持参しSYCLbyKEIOのカウンターで入居者の皆さんとおしゃべりしながら過ごすこともあるという石塚さん。いろいろな入居者さんとの会話は新しい視点の発見があり、とても刺激的だそうです。
13:30 / 下北沢で活動するお笑い団体と施設イベントの打ち合わせ
まちのひとの“やってみたい”をミカン下北で実現
ミカン下北では、“下北沢でやってみたいことがある“というプレイヤーと、ミカン下北や街のアセットとをつなげ、プロジェクトを推進するための支援をしています。今日は、そのうちのひとつのプロジェクト、実験型お笑いライブフェス「下北www.2024」に向けた打合せです。下北沢にはたくさんの劇場やライブハウスがありますが、なかでも、長年下北沢で無料のお笑いライブを開催する「下北GRIP」さんが発案したのがこの「下北www.」。普段は閉じられた環境で行われているお笑いライブが、下北沢の街に飛び出したらどうなるのだろう?」という想いから実験がスタートしました。
石塚さん: 想いを聞いてすぐ、面白い、ぜひやりましょう!となりました。昨年行われた第1回「下北www.2023」はすごく好評で、2回目の今回はミカン下北だけでなく、街の他のお店も巻き込んで実施できたらと一緒にアイデアを膨らませています。このような、いろいろな人の“やってみたい”という想いは「下北妄想会議」というコミュニティプログラムが起点となって生まれることもあります。そんな想いを実現させるサポートをすることはやりがいのある業務のひとつです。
※「下北妄想会議」とは一人一人の「下北沢でこんなことやってみたい」という妄想を起点に、下北沢に関わる多様なプレイヤーが混ざり・つながるためのきっかけの場。年に3回ほど開催されている。
14:30 / 店舗スタッフ参加の消防訓練
せっかくなら、参加してよかったと思える消防訓練!?
さまざまな人が利用する施設において、施設で働く全員が「非常時にお客さまを安全に避難させられるか」という意識を持つことはとても大切です。いざという時のために、消防訓練を実施することも施設運営担当者の大切な仕事です。
石塚さん:消防訓練は法的にも重要なものですが、店舗のみなさんの貴重な時間をいただいてしまう点は少し気が引けます。ですので、参加してもらうからには、学びがあってためになったと思える消防訓練にしたいと実施内容を考えています。
そんな石塚さんが考案したのが、「クイズ形式・体験型の消防訓練」。石塚さんオリジナルの消防に関するクイズで、参加者の知識と関心を深めたあと、実際に初期消火が体験でき更に理解が深まるよう工夫されていました。
その他にもミカン下北では、店舗のみなさんと月に1回行うミーティングを「作戦会議」と名付け、単なる情報報告会ではなく、雑談をはさみながら対話する形式にすることで、店舗間での交流をより深める工夫もしています。
石塚さん:ミカン下北の構想段階から、“実験”というコンセプトや“作戦会議”といったものが組み立てられていました。運営していく立場としてそのバトンを受け取り、想いを壊さず少しずつブラッシュアップできるように試行錯誤しながら挑戦しています。
16:00 / 店舗巡回
雑談からアイデアが生まれる
店舗スタッフさんとのコミュニケーションは仕事の中でも一番大事にしているという石塚さん。この日も、合間を見つけて店舗巡回に出かけます。
石塚さん:日頃から気軽に話し合える関係を築くことで、店舗スタッフさんが困ったときにすぐに相談してもらえるような存在でありたいと思っています。また、なんとなく話しているような雑談が、時にアイデアとなって、施設全体の企画として実現することもあるんです!
17:00 / Instagram発信の打ち合わせ
下北沢のデザイン会社とともにプロデュース
SNSは誰でも発信できるツールですが、きちんと届くメディアにするためにはプロの力が必要です。ミカン下北では、下北沢に根差したデザイン会社「㈱あおとき」の力をお借りしてInstagramを運用しています。打ち合わせでは、投稿する内容やイベント情報の掲載時期などを細かく擦り合わせます。各店舗の鮮度の高い情報を発信できるよう常にアンテナを張って店舗へヒアリングしたことをふまえ、投稿内容を検討しています。
石塚さん:単にフォロワーを増やすというよりは、コアなファンを作って、フォロワーになってもらいフォローし続けていただけるようなアカウントを目指しています。ミカン下北には、想いをもった店舗スタッフさんも多くいらっしゃるので、働く「人」にもフォーカスした発信を心掛けています。
ちょこっと公開 / 石塚さんのカバンの中身
今日は特別に、石塚さんのカバンの中身を見せていただきました。
石塚さん:このバッグは入社2年目になった時に買いました。とても気に入っています。こう見ると青っぽいもの多いですよね。ミントブルー好きなんですね、私。あと、チョコとかミントは気分転換になるので大体持ち歩いてます。お気に入りの餃子のポーチに入れて(笑)。
チャレンジしたい人に寄り添う「実験パートナー」でありたい
ーミカン下北、そして下北沢という街は石塚さんにとってどんな場所ですか?
石塚さん:私、本当にこのミカン下北がすごく好きなんです。おもしろいことを一緒に企ててくれる仲間がいたり、その企てに本気で向き合ってくれる仲間がいるからです。開業して2年が経ち、ありがたいことにそんな仲間が店舗や街の中に、どんどん増えてきているなと感じ、より一層、その方々へ還元しながら、施設やまちを盛り上げることができないかと日々考えています。気付けば下北沢とミカン下北にどっぷりはまっています(笑)。
ーミカン下北を、今後どんな場所にしていきたいですか?
石塚さん:いろいろな人の「入口」になりたいです。何気なく下北沢に訪れた人がまず来てみて、美味しいものや新しい発見ができる施設であることはもちろん、ミカン下北に訪れたことがきっかけで、なんか面白いプレイヤーと出会って、共感して、一緒に企画を実現しちゃった!みたいなことが起きるきっかけの場になったら面白いですよね。さらに、ミカン下北で起きたコトが、まちのなかへも連鎖していったらもっと面白いと思います。
ーミカン下北に携わる中で、どんな楽しみややりがいを感じますか?
石塚さん:私のミカン下北での肩書きは「実験パートナー」なんです。自分で勝手につけたんですけどね(笑)。下北沢で何かやってみたい人の実験を応援したり、誰かとつながることをお手伝いしたり、そうやってつながりが広がっていき、想いが形になっていくことを実感して、「ああ、この人の実験パートナーになれたな」と思えた時に、一番やりがいを感じます。
ミカン下北を舞台に、あの手この手で実験に挑戦するプレイヤーに寄り添うパートナーであり続ける石塚さん。密着が終了した今晩は、これから同僚と笹塚にできた新店舗へディナーに向かわれるとのこと。ずっと元気でアクティブな石塚さん。まさに下北沢の街が持つパワーと共にある1日でした。